ピアノの上達のためには、練習が必要ですよね。
ピアノの弾き方のビデオを見ただけで
上手くなる人はおそらく一人もいないでしょう。
適切な課題を適切な方法で練習することで、
少しずつ技術が身についてくる。
これはピアノの先生であれば同意してくださるでしょう。
また、1週間に1日だけたくさん練習するよりも
毎日少しずつ練習したほうがスキルは上がる。
人間の集中力は限られていますし、たとえば勉強の
一夜漬けもその後に残るものは多くはないはずです。
つまり何をいいたいかと言うと、結局は
毎日の練習の習慣が大事、ということです。
しかもその習慣を「最初期」に身に付けさせる。
ピアノを始めたその日から習慣化させる。
これが最も重要だということです。
そこで今回は、その「習慣化」について、
ちょっと考えてみたいと思います。
■習慣化させるための方法は?
では、どうやれば「ピアノを練習する」という
習慣が身に付くようになるのでしょうか?
その前に、今年小学校に入学した私の娘を例に
ちょっと考えてみます。
入学したての頃は、勉強も少しずつ、
本当にゆっくりの歩みでのスタートです。
「ひらがな」の勉強では、1日に1つ、
書き方をじっくり勉強していたようです。
当然、宿題も今日は「う」だけ、
その次の日は「つ」だけ。
しかも学校の授業でしっかり勉強してきた
ひらがななので、自分ひとりでできます。
しかも宿題は1日1ページ。
入学前に、ある程度ひらがなは書けて読めて
いたので、宿題も苦ではないようです。
これなら時間もかからず、あっという間に終わって、
はれて遊びに行くことができます(笑)
先生も、
「じっくりゆっくりできるようになることが大事だよ」
と伝えているようです。
■やったことをそのままやる課題に
こう考えると、ピアノの生徒の宿題の
「与え方」もとても重要になりますよね。
まずは、レッスン内で「宿題のやり方」を
きちんとできるまで教えることが大前提。
4歳や5歳の子であれば尚更でしょう。
基本的に幼い子が、自分で創意工夫して、
課題をこなすことはほぼありません。
「やったことを、そのまま家でやる」
というふうにしないと、宿題にはなりにくい。
いざ家でやろうとしたときに、できなければ
それがやる気の低下、嫌気、自信の喪失につながる。
逆に、やり方がわかっていればスラスラできて、
達成感や、次の日へのモチベーションにつながる。
だからこそ「やったことを、そのまま家でやる」
という宿題にしなければならないわけですね。
「これくらいなら、自分で考えてできるだろう」
「これくらいなら、お母さんが教えてくれるだろう」
という考えは、間違いだったと気づいても、
すでに遅かったりするわけです。
「これやりかたわかんなかったーもうやだー」
一度、宿題へのモチベーションがゼロに
迫ってしまうと、回復はおそろしく大変です(笑)
だからこそ、
「やったこと、できることを宿題にする」
というのが、導入期での鉄則になるわけです。
■かぎりなく「小さい課題」にする
人は、いきなり最初に大きな目標を立てても、
たいてい失敗してしまいます。
小さい子の場合、いきなり多くの課題を与えても、
それが苦痛になってしまい、長続きしない。
最近の子だからかわかりませんが、
ちょっとできないとすぐに諦める。
そんな傾向を感じる先生も多いでしょう。
我々が望むのは「毎日の練習」という習慣化。
であれば、最初期の宿題は、限りなくあっさり
できるものにする必要がありますよね。
(さきほどの「ひらがな」がそうですね)
レッスンで教えてもらって自分でできて、
しかも宿題もあっさりできるようなものであれば、
パパッとやってしまうケースがほとんどでしょう。
(もちろん、人それぞれだと思いますが…)
「できる、かんたん、はやい」
これが幼い子のモチベーションを
そこに向ける秘訣だと言えるでしょう。
(「はやい、うまい、やすい」みたいですが笑)
■「ピアノの前に座る」という行為
ある先生がおっしゃっていました。
「練習の習慣化のポイントは、ピアノの前に座らせること」
この言葉は、先ほどの「小さい課題」と
ぴったりマッチするように思います。
「ピアノの練習」を限りなく細分化して、
最も簡単な課題まで突き詰めると…
「ピアノの前に座る」
という行為が浮かび上がります。
ピアノの前に座り、目の前に鍵盤があれば…
たいてい、誰でも触る、あるいは弾きたくなるもの。
お絵かきも同じですよね。
画用紙とクレヨンが置かれたテーブルに
座らせれば、たいてい何かは描くでしょう。
ピアノの前に座るだけならば、誰でもできます。
何の苦も無く、強い意志も必要ありません。
だからこそ、最初期のピアノ練習の習慣化としては、
「毎日ピアノの前に座ること」
これだけでも、大きな一歩だと位置づけて、
保護者に伝えている、とのことでした。
■毎日の練習の先にあるもの
いずれにしても、幼児の場合は保護者の協力は
ある程度必要になるでしょう。
であれば保護者に「家庭練習に協力するメリット」を
感じさせることも、私たちは重視すべき。
この練習の先に、素敵な曲を弾いているお子様がいる。
この練習の先に、一生音楽を楽しめている姿がある。
練習を通して、たくさんのことを学び、
人間的、精神的な成長につながっていく。
そういうことを、きちんと最初期に伝え、
「練習が習慣化するまで」保護者に伝え続ける。
生徒に伝えるのと同じくらい、いえ、それ以上に、
お母様にも伝え続けることは大事ですよね。
それでは最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
いつも本当にありがとうございます。
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