おはようございます。
株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。

今日ご紹介するのは、

「ひとさし指のノクターン 車いすの高校生と東京藝大の挑戦」

という書籍です。

それは、4人の若者の、
ピアノへの「思い」から始まりました。

障がい者と芸術家、そして技術者が
起した奇跡の記録です。

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◆今日のチェックポイント◆
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巻頭の「はじめに」から引用すると、

「本書は、この二〇一五年度の東京藝術大学COI
『障がいと表現研究』グループの取り組みを
ドキュメンタリー形式で記録したものです。
障がいのある方々と共にひとつのステージを
つくり上げていく日々は、数多くの気づきに
満ちていました(中略)この喜び、感動を、
少しでも多くの方々と分かち合いたいと考えています」

とあります。

本書は、藝大の3人の教員が、筑波大学附属
桐が丘特別支援学校を訪れるところから始まります。

この学校訪問のきっかけは、
2015年4月に藝大が、

「革新的イノベーション創出プログラム(COI)」

の拠点となり「障がいと表現研究」に
取り組むことになったこと。

「障がいと表現研究」の目的を引用すると、

「芸術と科学技術を融合させ、障がいのある人々の
表現を支援していくこと。具体的には、障がい者が
自ら表現できるデバイスや楽器、楽譜を開発するのがミッション」

とあります。

本書は、藝大が2015年に行った「障がいとアーツ」
というイベントで、肢体不自由のある4人の高校生が

ステージでピアノを演奏するまでの記録。

指が動かず、ペダルを踏むこともできない彼ら。

藝大の研究者とヤマハの技術者たちは、
そのハードルをどうやって超えていくのか…

まさに奇跡の記録と言えるのが本書です。

本書の内容を「目次」からご紹介してみましょう。

プロローグ 「ピアノが弾きたい!」
はじめに
第1章 障がいとアーツ~高校生との出会い~
第2章 もうひとつの出会い
第3章 対面
第4章 チーム始動!
第5章 革命が起きた!
第6章 透明人間との共演
第7章 輝く舞台へ
第8章 舞台裏
第9章 未来の技術、未来の音楽
エピローグ 新しい始まり
〈付記〉『障がいとアーツ』これまでの歩み
おわりに

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◆(2)障がいのある4人の高校生と音楽家、技術者の奇跡の記録

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たとえば、ピアノの発表会では、
さまざまな人が演奏します。

難曲を達者に弾きこなす人には、
称賛の声が集まりますが、

始めたばかりの小さな子の、
いっしょうけんめいな演奏や

何度も間違えても最後まで弾き通した
おじいさんに、その日最大の拍手が贈られる。

多くの人の心をとらえるのは、そういう

「音楽にひたむきに向き合う姿」

だったりすることもあるわけです。

そこで本書。

「本物のピアノでショパンが弾きたい」

障がいのある高校生の思いから始まった、
ピアノをめぐる感動の記録。

とくに、

「藝大アーツ・スペシャル~障がいとアーツ」

に4人の生徒たちの出演が決定してからの、

「藝大×ヤマハ」のプロジェクトチームによる、
熱い思いと最新の技術が交錯する部分、

そして、高校生たちのステージに上がるまでの
奮闘ぶりには、心揺さぶられます。

メロディに追従して伴奏をつける、
ピアノの演奏追従システムや、

演奏に合わせてペダルを踏む仕組みは、

「人に寄り添う技術」を目指すヤマハだからこそ
成し得た偉業ではないかと思いました。

さらに、音楽を通して「共に生きる」こと、

音楽の本当の「価値」や、
表現することの「喜び」そして、

一つのピアノに当てられた、
人々の「希望」を感じることができ、

深い感動と共に本書を閉じました。

音楽をするうえで、本当に大切なことは何か?

あらためてそんなことを考えた一冊でしたね。

ご興味がおありの先生は、
一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。

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『 ひとさし指のノクターン 』新井鴎子、高橋幸代・著

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◆(3)編集後記

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今回ご紹介の書籍の著者の一人、新井鴎子先生。

「題名のない音楽会」「ジルベスターコンサート」
などの番組、コンサートの構成を数多く担当する、

クラシック音楽の構成作家としてご活躍。

また、藝大の特任教授、横浜みなとみらいホールの
館長として素晴らしいご活動をされています。

その新井先生が、いよいよ来月号の
「ピアノ講師ラボ」にご登場です。

「これからの音楽教育のあり方と希望を見せるピアノ指導」

といったタイトルで、内容としては、
新井先生が考える「音楽」について、

盛り上がる発表会やイベントの作り方、
インクルーシブ教育など、幅広いお話の数々。

これからの音楽教育、また日々のレッスンで
活かせるお話ばかりです。

★2020年10月号「新井鴎子先生が語る!
これからの音楽教育のあり方と希望を見せるピアノ指導」

【CD1】
1新井鴎子先生のプロフィールとご活動のご紹介
2クラシックコンサート構成作家の裏側に迫る!
3新井先生が思われる「音楽」とは?
4私たちは子どもの人生で大切なことを教えている
5構成作家が伝授!ピアノ発表会の盛り上がる企画

【CD2】
1ピアノ教育界にも希望の光!「だれでもピアノ」)
2レッスンで活かせる「バックキャスト」の考え方とは?
3これは生徒に伝えたい!クラシックの面白いネタ
4レッスンにも活用できるアイデア創出の秘訣
5大プロジェクトをもまとめる新井先生のコミュニケーション術
6お仕事とプライベートの切り替えのコツは「○○」
7多くのタスクをこなす新井先生の時間術と仕事観
8これからのピアノの先生が必要なものとは?
9新井先生のこれからの「ビジョン」は?
10新井先生にとっての「プロフェッショナル」とは?

ちなみに、新井先生のお話しが聴けるチャンスは、
「2020年9月30日」までのご入会に限ります。

ご興味のある先生は、ぜひこの機会に、
新しい学びをスタートさせてみてはいかがでしょうか。

それでは今号も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。

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