これまで、著名な先生も含め、
たくさんの先生にお話をお伺いしてきました。
そのなかで、どの先生にも共通する、
「あること」に気づきます。それは、
「子どもを一人の人間として尊重し、どんな子もできると信じている」
どんなに著名な先生も、最初は
たった一人の生徒からのスタートです。
すごい先生だからといって、
すごい子ばかり来るわけでもありません。
教室に来るのは、本当に普通の子です。
ただ、その子の道を大きく広げられるのは、
「子どもを一人の人間として尊重し、どんな子もできると信じている」
この揺るがない信念のもとで、
毎回のレッスンに勝負しているからです。
■子どもたちへのイメージが…
ともすると、大人はこう考えがちです。
「子どもだから何もできないだろう」
「まだ小さいからこれは無理だろう」
「子どもは大人の言うことを聞くべき」
ピアノのレッスンも、こうした考えで
向き合ってしまうと、
教える側の凝り固まった価値観の押しつけや、
子どもたちの可能性をせばめてしまうこともある。
そうではなく、一人の人間として、
大きな可能性がある存在として認めたうえで、
子どもたちに向き合うこと。
尊重しているからこそ、
彼らの気持ちに寄り添える。
何がきても大丈夫、そんな、
どっしりと構える安心感があります。
すべては、
「(指導者が持つ)子どもへのイメージ」
がレッスンに大きな影響を与えている、
ということです。
■全身全霊で、聞く。
子どもを信用し、認めている。
それを子どもたちに伝えることも忘れません。
ただ、それは「言葉で伝える」のではありません。
「全身全霊で、子どもたちの話を聞く」のです。
いわゆる「アクティブ・リスニング」です。
(アクティブリスニングとは、アメリカの
臨床心理学者カール・ロジャースが提唱した
傾聴姿勢のこと。日本では積極的傾聴と訳される)
子どもたちの話を聞くときには、
彼らの世界に、浸りきる。
その子の感情になって(なろうとして)みる。
100%の注意を向けて、無条件に聞き入れる。
楽譜を見ながら、よそ見しながらではできません。
しかも、先入観をゼロにして、
彼らの表情や仕草にも注意するため、
言ってみれば、すごく疲れます。
まさに全身全霊で聞くわけです。
でも、その姿に、子どもたちは何かを感じる。
この先生はわかってくれている、
何を言っても受け止めてくれる…そんな安心感。
両者に生まれるのは、あたたかい気持ちです。
だから、誰かがレッスン室に入ってきたときに、
何だか空気があったかい、と感じるわけです。
■「愛」という漢字には
子どもを尊重し、信じて、向き合う。
そんな先生の姿を拝見して、感じるのは、
月並みかもしれませんが、
やっぱり、生徒さんへの「愛情」です。
無償で、まったく見返りを求めない、
そういう純粋に相手を大切にする気持ち。
「愛」という漢字の真ん中には「心」があります。
「心」を取ると「受」になります。
つまり、愛とは「相手の心を受け入れる」ことなのです。
ただ子どもが好きだから、というだけでは、
レッスンが難しい理由がここにあります。
いい子だったら好き、そうじゃなければ嫌い。
これではレッスンになりません。
どんな子でも「心を受け入れ」られるかどうか。
レッスンの真ん中に「愛」があるかどうか。
たとえ今日が、人生最後のレッスンだとしても、
少しの後悔もないように。
全力で向き合い、相手の心を受け入れ、
与えられるすべてを与え、ベストを尽くす。
地道なことを、大きな心でもって続ける。
その先にあるものは、
子どもたちの「可能性」という大きな翼なのでしょう。
お忙しいなか、最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
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