「仕事」と聞いて、どんな印象を受けるでしょう?
誰かの役に立つこと、お金をもらえること、
価値を提供すること、働くこと…
仕事をすることで、自分が成長できる、
そんなこともあると思います。
■ちょっとしたためらい…
ただ、このブログをお読みの先生は、
もしかして同じかもしれませんが、
音楽をやっている身として、
「仕事」という言葉を使うのはちょっと…
という思いがあったりします。
(「ピアノ講師の仕事術」という本を
出させていただいている身で恐縮ですが…)
それは、自分がやっていることを、
「仕事」と言ってしまうことへのためらい…
ではないかと思ったりします。
たとえば、今日演奏会があるとして、
「じゃ、ちょっと仕事してくる」
というのは、何だか味気ないというか。
たとえば、レッスンが詰まっている日に、
「今日、一日じゅう仕事なのよね」
というのは、何か大事なものを置き忘れているような。
(何となく、ニュアンスが伝わりますでしょうか…)
たしかに、自分のしたことで、
誰かに価値を与え、対価を受け取ることは大切です。
でも、お客さまに拍手をいただいたり、
子どもたちの笑顔に触れられたり、
ピアノや音楽を通じた「感動」が、
いつもそこにある私たちにとって、
それを「仕事」という言葉にしてしまうのは、
なんだか、やっぱりためらわれる。
■仕事じゃなければ…?
じゃぁ、何なんですか?と言われても、
言葉が足らないので答えに窮するのですが…
すごくいろいろ考えると、結局のところ、
「使命」なのかなと思ったりします。
私の初めての小説仕立ての実用書、
同じようなくだりが出てきます。
大切なものを見失っていたときに、
立ち返るべき場所は、そこなのだと。
「使命」とは、命を使うことです。
本当に大切なことに、自分の命を使う。
■毎回のレッスンが…
ある先生がおっしゃっていました。
「毎回のレッスンが命がけよ」
それだけ、自分の大切なものを、
レッスンに注いでいるという意識。
そして、今日レッスンできていること、
生徒がこの部屋に来てくれていることへの感謝。
いま、こうしてレッスンできているのは、
当たり前のことではなく、
もしかして、明日できなくなるかもしれない。
だからこそ、悔いのないように、全力で取り組む。
「使命」とは、命を使うこと。
つまり、私たちにとって、
レッスンとは、私たちの命を提供していることです。
同時に、生徒一人ひとりの命をいただいています。
先ほどの先生の「毎回のレッスンが命がけ」
という言葉の裏にあるものは、それでしょう。
演奏も同じですよね。
私たちの命を使い、そこにいらっしゃる
お客さまの命をいただいている。
結局は、私たちの「生き方」なのかもしれません。
音楽に生かされ、音楽で生きている。
そこにある思いが、やっぱり強い。
自分がやっていることを、
「仕事」といってしまうことへのためらいは、
「だいじょうぶ、大切なことは忘れていない」
という思いの再確認でも、あるのかもしれません。
お忙しいなか、最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
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