おはようございます。
株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。

今日ご紹介するのは、

「西洋音楽理論にみるラモーの軌跡」

という書籍です。

楽器を演奏するにあたって
重要なのが「理論」の部分。

特に西洋音楽を扱う我々にとっては、
避けては通れないところですね。

今回は、理論家ラモーに関する書籍のご紹介です。

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◆今日のチェックポイント◆
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巻頭の「序論」から引用すると、

「本書はいわゆるクラシック音楽の分野で十分
注目されてきたとは言い難いジャン=フィリップ・
ラモー(Jean-Philippe Rameau.1683-1764)という
音楽家と、彼の業績の中でもさらに注目される
ことの少ない音楽理論の領域に光を当てようと
する試みである」

とあります。

本書は西洋音楽史において、
最大の理論家の一人である、

ジャン=フィリップ・ラモー
(Jean-Philippe Rameau.1683-1764)

による「音楽の統一理論(グランド・セオリー)」

の探求について著した一冊。

著者は、ラモーの「和声論」を完訳された、
研究者の伊藤友計先生。

★参考「自然の諸原理に還元された 和声論」

ラモーは、作曲家・オルガニスト、
そして、音楽理論家。

18世紀のフランス啓蒙主義時代に、
音楽構造の解明に人生をかけた人物であり、

西洋音楽史における最重要理論家の一人、
といわれています。

副題は「数・科学・音楽をめぐる栄光と挫折」。

本書は、その「理論家ラモー」の
人物像と理論に迫りつつ、

彼が残した課題についてまで理解できる、
貴重な一冊となっています。

本書の内容を「目次」からご紹介してみましょう。

【目次】

1 序論
2 ラモーのプロフィールと音楽理論書
3 ラモーに至る数比の伝統/ピュタゴラスとザルリーノ
4 『和声論』(1722)におけるモノコルド分割の伝統と継承
5 『和声論』以降の動向/音響物理学の知見と音楽理論
6 『新体系』(1726)における音響物理学
7 ラモー理論における倍音現象の諸問題/『和声の生成』(1737)以降
8 ラモーのこれまでの歩みと晩年の15年
9 エピローグ

付録1・抄訳
付録2・ラモーのテクストの影響関係
付録3・ラモー年表

参考資料
あとがき
人名索引

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◆(2)西洋音楽史上、最大の理論家であるラモーの探求の歩み

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私のなかで、ラモーというと、
恥ずかしながら、作曲家というイメージや、

ドビュッシーの「ラモーを讃えて」の
作品名の知識しかありませんでした。

そのラモーが、音楽構造の解明に命をかけ、
西洋音楽史における最重要理論家の一人、

といわれるほどの人物だったことは、
本書を通して初めて知りました。

本書は、ラモーという人物、そして、
彼の音楽理論への導入となる一冊。

「協和とされる音程はどのように定義されてきたか」

「なぜ“ド・ミ・ソの和音”が西洋音楽において特権視されるのか」

といったテーマを据えながら、

協和や和音のキーワードで、
ラモー理論の軌跡をたどります。

ラモーが抱えていた問題は、21世紀の今でも未解決。

たとえば、8度の2つの音が同じに感じられる、

「オクターヴの同等性」に関しても、
科学的には説明がついていないそうです。

また本書では、ラモー理論の重大な不備による
批判についても取り上げています。

ラモー理論の弱点や欠陥について、
正確に捉えることは、

西洋音楽理論が抱え込んでいる問題について
理解するためにも重要だということでしょう。

要所に挟み込まれているコラムも興味深く、

「モノコルドの分割によって協和音程を決める方法」

「西洋音楽における3度という問題」

といった内容は面白く読みました。

科学的に解決し得ない、音楽が内包している

「神秘的なもの」「不思議さ」

についてもあらためて感じられる一冊。

ご興味があれば、お手に取ってみてはいかがでしょうか。

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『 西洋音楽理論にみるラモーの軌跡 』 伊藤 友計・著

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◆(3)編集後記

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だいぶ暖かくなってきましたね。

朝、空が明るくなる時間も早まり、

カーテンを開けて、空の色を眺めるのも、
一日の楽しみの一つです。

花粉のこともあって、
ティッシュの消費量が増えていますが…

体調と感染拡大防止には十分注意して、

毎日を楽しく過ごしていきたいものです。

それでは今号も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。

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