★藤 拓弘が毎週土曜日配信の無料メルマガ「成功するピアノ教室」vol.689(2021年12月4日配信分)より
ときに、自分がしていることに、
自分の仕事に疑問を持ってしまう…
「私のやっていることは、これでいいのか…?」
そんなこともあると思います。
思うようにいかなかったり、
成果がでなかったり、
袋小路のような行き詰まりを
感じることもあるかもしれません。
それでも私は、そこに信念がある限り、
その道を進むべき、というサインだと思います。
■美しい景色を求めて…
あるカメラマンのお話です。
この世のすべての美しい景色を撮りたい。
そう思って旅に出ました。
でも、美しい景色に出会えば出会うほど、
写真を撮ればとるほど、
あることに気づいたそうです。
一生かかっても、この美しい景色のすべてを、
カメラに収めることはできない、と。
つまり、自分の願いは、到底不可能だった。
はたして彼は、そこで落ち込んだのでしょうか?
答えは、逆でした。
感激したのです。
一生かかっても撮りきれない、
そんな美しさに溢れた世界に、今、自分は生きている。
なんて素晴らしいんだ、と。
■私たちはどうでしょう
私たちは、いわば、音楽という果てしない世界に浮かぶ、
一枚の葉のようなものです。
音楽のすべてを知りたくて、
一生をかけて漂っている。
でも、気づくわけです。
私は、この世界のほんのわずかしか体験できない、と。
生涯かけても無理でしょう。
ベートーヴェンのソナタのたった一つの楽章でさえ、
きっと、すべてを知るなんて難しい。
それでも、私たちは漕ぎ出したわけです。
一生かけてもたどり着けない旅に出ました。
そこで、落ち込んだでしょうか?
逆ですよね。あのカメラマンと同じです。
大海原に浮かんでいるだけで、感激です。
その世界の片隅にいるだけで、幸せです。
こんな素晴らしい、音楽という世界に、
今、自分は生きているのだ、と。
■たった一曲しか弾けなくても
ピアノ指導は、楽しいこともたくさんあります。
でも、うまくいかないことの方が多いですよね。
一生かけてもたどり着けないことを、
自分以外の誰かに伝えるわけですから。
そもそも、難易度が高いわけです。
たとえば、生徒がたった一曲しか弾けない。
もっとたくさん弾かせたいのに、
もっとたくさん教えたいのに。
きっと、いろいろ悩むと思います。
でも、私たちにとっては「たった一曲」でも、
彼には「一生の宝物」になるかもしれない。
■どうしても、捨てられないもの
誰にでも、捨てられないものがあると思います。
学生の頃に部活で使ったラケット、
小さい頃に発表会で着たドレス、
手紙を書き続けて使えなくなった万年筆…
それは、そこに捨てられない思い、
忘れられない匂い、ほろ苦い香り、
胸がきゅっとなるなつかしさ…
そのとき心が動いたことが、
詰まっているから捨てられないのです。
■指先からあふれるもの
さっきの「たった一曲」も同じだと思います。
その子が大人になりました。
「昔ピアノ習ってたんだよね…」
そういいながら、鍵盤に触れているうちに、
そのたった一曲が、よみがえってきた。
その曲のメロディに残っている、
あの頃の思い、努力した時間、
誰かにもらった拍手、
そして、先生の笑顔…
■一枚の葉を浮かべる
私たちの仕事は、
子どもたちの人生、という大海原に、
一枚の葉っぱを浮かべるようなものかもしれません。
私たちが、一生をかけて伝えているのは、
たった一枚の葉っぱかもしれません。
でも、きっと、その小さな葉っぱは、
色あせずに、その子の心の中にあり続ける。
何年、何十年かして、
彼がそれに気づくときを
夢見ながら、信じながら、
日々、心を込めて、レッスンしていく。
それで、いいのだと思います。
それが、私たちの仕事の尊さ、だと思います。
★藤 拓弘が毎週土曜日配信の無料メルマガ「成功するピアノ教室」vol.689(2021年12月4日配信分)より
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
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