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よくピアノ演奏の批評で「色彩感がある」といった
表現をよく耳にします。
また、音楽と色彩には関係がある、と感じている
先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近出版されたこの書籍も関連書と言えるでしょう。
今回は、本日配信の教本メルマガからご紹介です。
★「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」vol.330(2014年11月5日配信)より
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『 先生のための新しいピアノ練習法・音色奏法入門 』 中村誠・著
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今日ご紹介するのは、
という書籍です。
以前この教本メルマガにて、イメージを楽譜に書き込み、
求める音色に近づけるといった教材をご紹介しました。
子どもたちの音楽的な感性を刺激する
様々な方法が紹介されている教材でした。
今回ご紹介するのも、その方向性に近い
コンセプトの教材と言えるでしょう。
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◆今日のチェックポイント◆
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この書籍の「はじめに」から引用すると、
「この本は、幼稚園や学校の先生方、また音楽教室などで音楽を
教えておられる先生方のためのピアノ上達法について書かれたも
のです(中略)音色奏法とは、ひと口にいうならば、音楽のなか
に無数にある和音の特徴を、一つひとつ色のイメージを伴って聴
いたり表現したりする練習方法ということができます」
とあります。
本書のタイトルにもなっている「音色奏法」の「音色」は
「おんしょく」と読み「視覚的な色合い」という意味。
著者の中村先生は、長年、小学校から高校までの音楽科教諭を
勤められ、授業でこの音色奏法を取り入れていたとのこと。
「音色奏法」は、楽譜中の要所である和声の部分に○があり、
響きから自由にイメージした色を○の中に色鉛筆で塗る。
それを参考に、和音に「色」を感じながら弾くことで、
表情豊かな演奏を目指す。
簡単に説明すると、こういうことになるでしょうか。
また「音色奏法の効用」について挙げると、
・子どもたちをピアノの魅力に触れさせる
・和音の響きの変化に興味をもつようになる
・音楽に積極的に耳を傾け反応するようになる
といったことを挙げています。
「音色奏法」について、本書の中でも度々触れている
留意点についても、ここでご紹介しておきましょう。
●「本メソッドの目的は和音の色当てにあるのではなく、
『音楽に積極的に耳を傾け、反応するようになること』」
●「音色奏法の一番の目的は、色のイメージを通して、
響きをよく聴き取ることにある」
●「色彩そのものにこだわりすぎないように注意」
本書の章立てをご紹介してみましょう。
【第1章】音色奏法とは
【第2章】色彩と音との関係
【第3章】トーンカラーの練習‐基礎編
【第4章】トーンカラーの練習‐応用編
【第5章】音色奏法を用いた指導の実際
【第6章】指導者のためのピアノ練習課題
シューマンやグルリット、ブルグミュラーなどの
楽譜を掲載して、実践できるようにもなっています。
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◆(2)「色」のイメージでハーモニー感を身につける
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本書にある、学校現場で子どもたちに行った「試み」が
興味深いので、ここで要約してご紹介してみましょう。
●4~6年生のクラスで4種類の和音(長三、短三、減三、増三和音)を
聴かせて、イメージする色を塗らせてみた
●結果、長三和音は「暖色系」短三和音は「寒色系」減三和音は「黒や茶色」
増三和音は「中間色系」の色を塗る児童が比較的多いことに気づく
●この結果を受けてさらに検討して、
長三和音(明るい響きの和音)…「白」
短三和音(暗い響きの和音)…「青」
減三和音(荒々しい響きの和音)…「茶色」
増三和音(不思議な響きの和音)…「肌色」
と色を統一し、小学2年生を対象に上記の4種の和音を聴かせて
(適宜説明を加えて)「色当て」の実験をしてみた
●結果、9割近くの児童が見事に正解を言い当てた
こうした実験から生まれたのが「音色奏法」とのことです。
私も和声と色彩に関しては、多少関連性があるのでは、
と感じている人間のひとりです。
上記の実験に興味を覚えたので、実際に2人の生徒(小学生)に
同じような試みをしてみたところ、面白い結果が出ました。
「減三和音」からイメージする色を、
何と2人とも「茶色」と答えたのです。
データがあまりにも少ないので何とも言えませんが、
響きと色彩には共通点があるのかもしれません。
また今回やってみて思ったのは、色を感じることを前提に
音を聴かせると、普段にない「集中力」が出ること。
何かを「見よう」とするような、集中して音を聴く、
という作業がそこに生まれたことは確かです。
子どもたちはクレヨンや色鉛筆などが大好き。
彼らにとって、言葉からイメージするよりも
「色」でのイメージのほうが容易かもしれません。
今回の書籍は、色でイメージしながらハーモニー感を
身につけることが最終的な目的。
この点からも、この「音色奏法」は、とても面白い
アプローチ法ではないかと感じました。
タイトルに「先生のための」とありますが、レッスンの現場で
子どもたちにも使える教材ではないでしょうか。
ご興味のおありの先生は、一度ご覧になってみてください。
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『 先生のための新しいピアノ練習法・音色奏法入門 』 中村誠・著
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