ピアノを弾く上で「脱力」がポイントである、
と多くの先生が思っているでしょう。
けれども、どのように実践すればいいのか、
どう生徒に伝えたらいいのか…
このあたりで悩んでいらっしゃる先生には、
今回の教材はマッチするかもしれません。
★「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」vol.359(2015年6月10日配信)より
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『 ピアノ・脱力奏法ガイドブック Vol.1 <理論と練習方法> 』岳本恭治・著
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今日ご紹介するのは、
「ピアノ・脱力奏法ガイドブック Vol.1 <理論と練習方法>」
という教材です。
ピアノを弾くときに大切なポイントは
やはり「脱力」でしょう。
いかに肩や腕、手首を楽にして弾くか。
これはテクニック的にも、音色や響きの面でも
重要なポイントであることは間違いありません。
今回はタイトル通り「脱力奏法」を
身につけるための教材です。
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◆今日のチェックポイント◆
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巻頭の「まえがき」から引用すると、
「ピアノを演奏する際、楽に速く指を動かすためには腕や手、
さらに指の能力を高めなければなりません。腕や手、指の運
動の困難さを克服し、理想的なピアノ演奏をすることを望ん
でおられる皆さんに脱力奏法=合理的奏法をご紹介致します
(中略)何よりも『ピアノを正しく、美しい音で演奏したい
人』に是非読んで頂きたいと思います」
とあります。
本書によると「脱力奏法(合理的奏法)」とは、
「指を無理なく伸ばし、指先を起こした状態で、
腕の重さと弛緩を基本として、無駄なく筋力を使う奏法」
とあります。この奏法のメリットとして、
○手のアーチが理想的で軽く速く指を動かすことができる
○弱音でも響きが充実、まろやかで、強音でも割れない
を挙げています。
巻頭には「ピアノの構造の知識」があり、ダンパーや
アクションなどを図入りで解説しています。
さらに「手の構造の知識」や「脱力奏法」を
身につけるための解説や実践方法が続きます。
参考までに目次の中から主な内容を
挙げてみましょう。
●脱力奏法とは?
●脱力奏法の歴史
●ピアノの構造の知識
●手の構造の知識
●脱力奏法を身につけるための解説と実践
●テクニック別の練習方法
本書が「Vol.1<理論と練習方法>」となっており、
続編の刊行も予定している模様です。
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◆(2)「脱力奏法」を先人たちの練習方法で実践できる
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腕や手の力を抜いて弾くことの重要性は
十分わかっている。
けれども、それを生徒に伝えるには
どうしたらよいだろうか?
自分では「何となく」出来ていることからくる、
「あいまいな感じ」が伝える際の難しさでしょう。
中には、自分自身がまだ「脱力奏法」に十分な
自信がないという方もいらっしゃるかもしれません。
本書では、ピアノや手の構造の知識から入ることで、
より理論的に実践、練習できる構成になっています。
道具をうまく使うためにはまずは道具を知る、
そういう基本を大切にしているのでしょう。
また理論だけでなく、すぐに実践・体験できる
具体的な方法が多く掲載されているところがいいです。
たとえば、
○腱間結合を体験しよう!
○テーブル上でのトレーニング
○鍵盤蓋を使い、突き放す訓練
○「ショパン・ポジション」のトレーニング
○指を鍛えるためのトレーニング
また「テクニック別の練習方法」では、具体的な
譜例と共に「脱力奏法」の練習方法を提示。
各テクニックをピンポイントで身につけるために
効果的な練習方法が挙げられています。
特筆すべきは、普段あまり目にしないような
練習方法が掲載されていること。たとえば、
○音階…ショパン「ピアノ奏法草案」より
○5指練習…ヘルツ「ピアノのための音階と練習曲」より
○連打…リーベルマン「ピアノ奏法」より
○跳躍…ハウスマン「百発百中練習曲」No.26aより
○トリル…モーツァルトからフンメルに伝授された練習方法
○オクターブ…デーリンク「オクターブの練習曲」より
たくさんの練習方法が掲載されていますが、
練習の際に留意すべきことは当然、
「脱力を意識しながら行うこと」
「意識して」感じること「意識して」経験することは
何においても大切なことでしょう。
本書の「脱力奏法」の実践も、いかに自分の
「感覚」を研ぎ澄ませ、確かめながら行っていくか。
ここにポイントがありそうです。
個人的にも実践してみたい内容が満載。
脱力で悩んでいる先生、生徒への脱力指導の
ヒントが欲しい先生にはよさそうです。
まずはお手に取ってみてはいかがでしょうか。
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『 ピアノ・脱力奏法ガイドブック Vol.1 <理論と練習方法> 』岳本恭治・著
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