発達障害でもピアノが弾けますか?

ピアノの先生は必読でしょうね。

★「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」vol.398(2016年3月23日配信)より

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『発達障害でもピアノが弾けますか?』中嶋恵美子・原作 かなしろにゃんこ。漫画

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いつもこのブログをお読みいただき、
本当にありがとうございます。

株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。

今日ご紹介するのは、

「発達障害でもピアノが弾けますか?」

というコミックエッセイです。

原作は、弊社の「ピアノ講師ラボ」の対談でも
ご登場いただいた、中嶋恵美子先生

5年前に出版された「あきらめないで!ピアノ・レッスン」
多くの先生に勇気を与えた書籍で、いまだに売れています。

★参考「あきらめないで!ピアノ・レッスン
~発達障害児に学ぶ効果的レッスンアプローチ」

今回は、その中嶋先生のピアノ教室を舞台にした、
コミックエッセイのご紹介です。

※発達障害は「発達障碍」「発達障がい」と表記されることも
あるようですが、今回は本書の表記に従っています

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◆今日のチェックポイント◆
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巻頭の「ごあいさつ 発達障害の子にも『趣味』を」
から引用すると、

「この本は、私がブログに書きためてきたことを、かなしろ先生が
漫画にしてくださったものです。起きた事柄、レッスンアプローチ、
生徒さんの個性などすべて脚色なし(中略)きっと、音楽の知識が
ない人にも楽しく読んでいただけることと思います(中略)そこに
共通しているのはどこまでも純粋な心と感性です。この子たちと触
れることで人生が豊かになり、日々感性を刺激されている私の感動
が、少しでもみなさんに伝わったならうれしく思います」

とあります。

本書の主人公は「中嶋えみこ先生」。

10数年前に、初めて発達障害の生徒さんが
やってきたエピソードから始まり、

実際のピアノレッスンの様子を描いた、
ノンフィクション・コミックエッセイです。

漫画というスタイルをとっているため、
手軽に読めるのが本書の特長。

ただ手軽とはいっても、内容は深いものがあり、
数々のエピソードに感動することも少なくありません。

また要所に挿入されている「発達障害 当事者コラム」
大人になってからもピアノを続けている方のお話。

日常生活で感じる困難やピアノとの付き合い方など、
当事者目線でのお話は、とても参考になります。

ちなみに漫画を担当された、かなしろにゃんこ。さんは、
同テーマのご著書も多数おありの方のようです。

★参考『漫画家ママの うちの子はADHD』

★参考『発達障害 うちの子、将来どーなるのっ!?』

本書の内容を目次からご紹介しましょう。

●プロローグ「教室に発達障害の子がやってきた!」  
●第1話 リョウくんの「こだわり」
●第2話 「耳コピー」の得意なシンジくん
●第3話 リョウくんが行方不明に!?
●第4話 「うちの子、楽譜は読めません」
●第5話 シンジくん、作曲に目覚める
●第6話 なっちゃんの純粋な涙
●第7話 自然の猛威がやってくる
●第8話 オルペウスの涙、エウリュディケの死
●第9話 かのじょにあげよう かわいいおはな
●第10話 発表会3週間前に、突然サザンブーム!?
●第11話 シンジくんにあこがれて
●第12話 シンジくんが弾いたショパン「別れの曲」
●第13話 “やさしいタッチ”って?
●第14話 連弾で、意外な化学反応!?
●第15話 ケンタくんが教室に来るまで
●第16話 発表会当日、パニックに!
●第17話 「なんで人は死んじゃうの?」
●第18話 クリスマスコンサートへの招待
●第19話 ピアノは生きがい
●第20話 人生の交差点
●エピローグ ピアノと出会えてよかった!
●あとがきにかえて かなしろにゃんこ。

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◆(2)ピアノの先生なら読んでおきたいコミックエッセイ

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かわいらしいタッチの漫画でつづられた、
中嶋先生の教室でのピアノレッスンの実話。

10数年前にはじめて、発達障害の双子の子が
教室にやってくるところから始まります。

本書にもありますが、そのとき中嶋先生は、
発達障害の知識はほとんどなかったといいます。

それでもこころよくその子たちを受け入れ、
お母さんとの二人三脚のレッスンがスタート。

試行錯誤を繰り返す数年間を経て、口コミで
発達障害の生徒さんが増えていったそうです。

本書に収められているエピソードはすべて実話。
それだけに心打たれるシーンが多かったです。

なっちゃんが好きな歌を歌いながら泣いてしまった
エピソードから、純粋な心に触れる喜びを描いた部分。

妹を優しくそっと触ってあげるイメージで、
リョウ君のタッチや音色を美しく変えたエピソード。

発表会でがんばったお母さんと抱き合うシーンは、
とても感動的でした。

また作中でつづられている、以下の中嶋先生の「思い」は、
本書の隠れた「重要なテーマ」ではと感じました。

「近い将来 お父さんお母さんが苦労してピアノ教室を
探さなくてもいいくらい 発達障害について理解が
進むといいな……と願うのでした」

「障害のあるなしに関わらず ものさしに頼らないで
個性の異なる1人1人の子と向き合うことができたなら……
きっと先生たちの気持ちもずっとラクになることでしょう」

「凸凹のある個性を『これがこの子なのだ!』と当たり前の
ように受け入れてくれる先生が1人でも増えるといいなと思います」

現代のピアノの先生に必要な知識は多岐にわたりますが、
発達障害についての知識もそのひとつでしょう。

この点、まったく知識のない先生にとっても、
本書は大きな足がかりになり得ると感じました。

ピアノの先生はもちろん、習い事をさせたいと
お考えの親御さんにも読んでいただきたい一冊。

ご興味がおありでしたら、
お手に取ってみてはいかがでしょうか。

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『発達障害でもピアノが弾けますか?』中嶋恵美子・原作 かなしろにゃんこ。漫画

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◆(3)編集後記

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本書の原作を書かれた中嶋恵美子先生。

弊社の「ピアノ講師ラボ」の対談にもご登場いただき、
会員様からの大きな反響を呼びました。

ピアノ教育業界でも発達障害について学ぶ先生は
増えてきているように感じます。

それでもレッスンでのお悩みを抱える先生は
きっと少なくないのではと思います。

本書の巻末に、

「発達障碍ピアノレッスンFacebookグループ」

のご案内がありました。

ピアノ指導者限定のグループで、レッスンの悩みの
ご相談や情報交換ができるとのこと。

グループの管理人は中嶋恵美子先生。相談しやすい
空気感を大切に運営されているそうです。

Facebookの検索窓にて「発達障碍ピアノレッスン」で
検索してリクエストをクリックすると参加できるとのこと。

少しでも情報を求めていらっしゃる先生は、
ご参加されてみてはいかがでしょうか。

それでは今回も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。

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