ラーメン屋さんのできごと

私はこれまで、2000人を超えるピアノの先生、
著名なピアノ指導者との出会いをいただいてきました。

そのなかで気づいたことがあります。

「生徒募集の最大のポイントは『レッスン』にある」

著名な先生のもとに生徒が集まる理由は、
その先生が著名だから、というだけではありません。

むしろ生徒や保護者が「え、有名な先生なの？」
ということのほうが多かったりします。

純粋に、質の高いレッスンをしているから、
自然と生徒が集まるようになっている。

これが本当のところではないかと思います。

また、毎年行っている弊社のアンケートでも、

「生徒募集で一番効果があるのは『口コミ』である」

という結果が出ています。

教室のホームページやブログ、チラシなどいろいろ
あるけれども、結局は「口コミ」に勝るもの無し。

多くのピアノの先生がそう答えていらっしゃいます。

■口コミの元は「先生」である

口コミはどこから生まれるのでしょう？

立地や教室のハード面のこともあるかもしれませんが、
多くの場合は「先生」でしょう。

先生の人柄、話し方、ピアノ教育への情熱、
レッスンの質、これまでの実績などなど…

トータルで「先生」そのものが評価されて、
お母さん方の会話のなかで、

「今通っているピアノの先生、いいわよ」

という一言が出てくるのでしょう。

■あるラーメン屋さんでの出来事

話は一気に変わりまして…

先日、あるラーメン屋さんにお昼を食べに行きました。

そこは、以前一回だけ行ってみたことがあり、
わりと美味しかった記憶がありました。

今回も美味しくいただき、席を立ち、
お店の入口付近にあるお会計に向かいました。

ラーメンを作っていた店主（男性）が、汗を拭きながら
レジを打ちつつ言った言葉が印象的でした。

「ありがとうございます。お味は大丈夫でしたか…？」

人の好さそうな方で、謙虚さもにじませています。

「あ、とても美味しかったですよ」

と答えると嬉しそうに、

「それは良かったです、ありがとうございます」

と笑顔で応えてくれました。

■質問の裏にあるものとは？

「お味は大丈夫でしたか？」

たしか、前回来店したときにも、
同じように聞かれた記憶があります。

ということは、毎日ほとんどのお客さんに
同じ質問をしているのでしょう。

客観的にみて、自分の味はどうだったか？と
お客さんに聞くのは、結構勇気の要ることでしょう。

もちろん、自分の作るラーメンに自信があることは
前提にあるとは思います。

でも、もしそこにあるのが「自信」だけならば、
きっとそんな質問はしないはずです。

少なくとも、私にはその店主の方の言葉から、

「お客様により良いものを提供したい、
そのための『ヒント』をいただきたい」

そんな姿勢が感じられました。

こうしたコミュニケーションがあれば、
実際お客さんから、

「ここがこうだったらもっといいね」
「もうちょっと辛味があるのが好み」

そんな意見をもらうこともあるでしょう。

そんな「お客様からのアドバイス」も素直に
受け取れる「謙虚さ」も感じられたからです。

■フィードバックを今後に活かす

「商品やサービスをより良くするための
情報は顧客が持っている」

ビジネスの世界ではよく言われます。

自社の商品やサービスの改善のヒントは、
当事者では気付かないことも多いわけです。

だからこそ、お客様からのフィードバックを
何より貴重で大切なものとして扱う。

先ほどのラーメン屋さんもそういうことでしょう。

今回のことは、ピアノのレッスンにおいても、
活かせるお話ではないかと思ったりします。

たとえば、小さな子と楽しくレッスンした後に、

「今日のレッスンどうだった？」

みたいに聞けば、

「あっというまにおわっちゃったー」
「えっとねー、○○がもっとやりたかった」
「○○のおはなし、おもしろかった」

と嬉しい感想や、生徒が反応した部分を
確認することもできるかもしれません。

それに加えて、

「せんせいね、ちょっとおはなしがはやいよ」
「○○のところ、よくわからなかった」

みたいな改善点や次回につながるヒントも
得られるかもしれません。

■大切なのは「より良くしたい」という気持ち

ここで最初のお話に戻ります。

私が思うに、著名な先生や質の高いレッスンを
提供しているピアノの先生は、

「レッスンの質を高めようと努力している人」

であると思います。その根底にあるのは、

「自分のレッスンをより良いものにしたい」
「生徒により良いレッスンを提供したい」

という気持ちであり、

「そのためならどんなヒントも大切にしたい」

という学びへの謙虚な姿勢ともいえます。

そうした姿勢は、必ず生徒や保護者に伝わる。
言葉にしなくても、きっと感じている。

それが口コミや紹介につながっているのかもしれません。

いつもどんなことからも学びをいただいている。

私も、いつもそんな気持ちでレッスンや
物事にあたっていきたい。

ラーメン屋さんでのちょっとした出来事に、
そんなことを思いました。

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