いつもお読みいただき、
本当にありがとうございます。
株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。
今日ご紹介するのは、
という曲集です。
世の中には数多くの練習曲集が出版されていますが、
今回は、お目にかかることが少なそうな曲集。
古典派からロマン派への移行期に活躍した、
ヨハン・ネポームク・フンメルの練習曲です。
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◆今日のチェックポイント◆
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本書の巻頭の解説から引用すると、
「古典派から初期ロマン派のピアノ技法の集大成として
1828年に出版された超大作『ピアノ奏法の詳細な理論と
実践詳論』の第1章(全3章)に収録された練習曲集です。
60曲の練習曲のみの出版は世界的にほとんどなく、実用
版としては本書が世界初の出版となります」
とあります。
解説は、日本J.N.フンメル協会会長でもある
岳本恭治先生によるもの。
それだけに、巻頭の解説などはかなり充実しています。
「本練習曲の特色」からいくつかご紹介すると、
【1】チェルニー型の練習曲と比べ、
対位法的な練習が多く見られる
【2】ゆるやかなテンポの練習曲が多い
【3】練習曲でありながら、発表会や
コンクール向きの曲が多い
【4】初歩の段階から全調を学び、とくに
ショパン・ポジションを習得出来る曲が多い
【5】無味乾燥な練習曲ではなく、豊かな表現法
(アーティキュレーションやフレーズ感)を学べる
難易度は、チェルニー100番から40番程度、
としています。
巻頭には、60曲すべての解説とポイントが書かれており、
練習の目的や演奏のヒントが得られるようになっています。
また、フンメルの生涯や作品、作風、使用したピアノ
アーティキュレーション、指使いなどの情報があり、
これだけの情報を得られるだけでもかなり貴重でしょう。
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◆(2)ショパンが尊敬していたフンメルの練習曲集
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私は大学院時代に、ショパンの青年期やピアノ協奏曲を
テーマにした修士論文を書きました。
調べていくとショパンは、モーツァルトとベートーヴェン、
そして、今回ご紹介のフンメルのことを、
「偉大な巨匠たち」
と尊敬していたことが分かります。
フンメルが8歳の頃に、モーツァルトが自分の家に
住まわせてレッスンするなど、
子どもの頃から才能を認められ、その後もヴィルトゥオーソな
ピアニストとして活躍していました。
またショパンは、モーツァルトからフンメルに流れる
リリシズムな世界に影響を受けたということです。
ただ、それだけの作曲家・演奏家にも関わらず、
現代にはそれほど作品が知れ渡っていません。
この点、今回ご紹介の60の練習曲は、フンメルの
音楽を知る貴重な曲集ではないかと感じます。
端正、透明といわれたフンメルの演奏の通り、
この練習曲もタッチや音色に留意してさらうべきでしょう。
「よく音を聴き、澄んだ響きを表現できるように」
と本書の巻頭の解説にも描かれています。
多くの作曲家に影響を与えた、
フンメルによる練習曲。
なかなかお目にかからない曲集かと思いますので、
ご興味のおありの先生は、ぜひご覧になってみてください。
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『 フンメル 60の練習曲集 』 校訂・運指・解説・岳本恭治
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◆(3)編集後記
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今回ご紹介のフンメル、私もドイツ留学時代、
フンメルの作品に触れる機会がありました。
フンメルのトランペット協奏曲の
ピアノ伴奏をさせていただきました。
その親しみやすいメロディや爽やかな音楽に
触れられたのは、貴重な体験でした。
今回の練習曲をご紹介しながら、当時の
懐かしい留学時代を思い出しましたね。
それでは今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
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