私が2008年に起業して、もうすぐ10年となります。

これまで書籍の出版や「レッスン手帳」の監修、海外出版、
全国での講演活動、法人化、「ピアノ講師ラボ」の運営など、

思えば、この10年でたくさんのことを
経験させていただきました。

何より、全国の素晴らしいピアノの先生との
出会いをいただいてきたことは特筆すべきことです。

先生方に支えていただいてここまで来れた、
というのが本当の実感です。

■振り返ってみると…

10年前を考えてみます。

ピアノの先生業界は、どことなく閉鎖的な雰囲気があり、

「ピアノの先生がつながる」

という発想はほぼ皆無だったように思います。

個人ピアノ教室の先生は、本当に孤独です。

外部とのつながりも薄く、情報も入りづらい。

悩みを聞いてくれる相手もいない。
孤立して一人でもがいている。

いつも何らかの不安を抱えている、
そんな存在がピアノの先生でした。

■起業当初から抱き続けている思い

私が2008年の起業当初から活動の糧とし、
提唱し続けていることがあります。それが、

「ピアノ講師のつながるプロジェクト」

孤独な個人教室の先生、閉鎖的ともいえる業界に

「ピアノの先生が心でつながる場をつくりたい」

そんな雰囲気を広げたい。

毎日が楽しく、充実したレッスンライフを
送るために必要なものは「心の支え」です。

何かあっても相談できる人がいる。

悩みがあっても、分かり合える仲間がいれば、
情報も安心感も得られます。

同じ仕事をして、同じ悩みを抱え、
分かり合える先生の存在は何より大きいものです。

家族やパートナー、友人という存在とは
また違った「貴重な」存在だと思います。

「分かり合える感」がまったく違うからです。

ピアノ指導をしている人にしかわからない、
「何か」がそこにあるからでしょう。

■暗中模索のなかで始めたこと…

10年前に私が始めたのが「メルマガ」でした。

情報発信することで、私の考えにご賛同いただける先生と
少しずつでいいから業界を変えていきたい。

ただ最初は、誰にも届かないような本当に小さな声でした。

9割以上が女性のピアノの先生業界に、
無名で、しかも「男」である私が何を言っても、

相手にされないのではないか。
声すら届かないのではないか。

暗くて狭い道を、灯りもなく彷徨うように、
悩みながら、迷いながら歩いていた。

当時の私はそんな感じでした。

ただ小さく落ちた一滴から、
水面に輪が広がっていくように、

少しずつ、少しずつ、

本当に少しずつですが、

私の思いに共感してくださる先生が一人、
そしてもう一人、という感じで、

ピアノの先生の輪が広がっていきました。

思いも多くの先生に届くようになりました。

■大きく変わった「いま」

起業から10年経ちました。

私の肌感覚で恐縮なのですが、
ピアノの先生業界には、確実に、

「私たち、つながっていいんだ」

そんな雰囲気が広がっているように感じます。

10年前には考えられないほど、
ピアノの先生の横のつながりが広がり、

お互いが切磋琢磨して高め合っていらっしゃる。

業界の雰囲気が大きく変わってきたのを、
私自身も少なからず感じています。

私が監修させていただいた

「ピアノレッスンアイデアBOOK」
「ピアノ教室アイデアBOOK」

は、こうした動きの集大成だと思っています。

個人ピアノ教室の先生のアイデアを
一冊の書籍にまとめて世の中に生み出す。

そこにあるのは「惜しげもないシェアマインド」です。

おそらく10年前であれば、
こうした本はあり得なかったでしょう。

自分が苦労して掴んだ情報を誰かに見せる…

そんな「与える」というマインドが、
業界にはあまりなかった時代です。

ましてや書籍でなど、有り得なかった。

だからこそこの本は、

「新しい時代の幕開けの象徴」

といっても大げさではないのでは、
と私は思っています。

■一貫して抱き続けるものとは…

私が起業当初から目指しているのは、

「いいものはシェアし、一緒に良くなる」

業界にそんな「場」と「雰囲気」を作ることです。

今はインターネットやSNSがあります。

全国の同じ志を持つピアノの先生が集い、
情報をシェアし、支え合い、励まし合う。

教室運営やレッスンへの安心感が生まれる。

そこから生まれる安心感が、日々のレッスンや
教室運営を充実へと変えていくはず。

全国の先生がつながり、支え合う環境があれば、
日々の仕事や生活に安心が生まれます。

お互いに有益な情報交換をすることで、
理想とする教室運営を追求できます。

理想の教室運営やレッスンができれば、
さらに仕事への意識は高くなります。

意識の高い先生がつながることが、結果的に
「ピアノ教育業界全体」の底上げにつながる。

■この仕事に誇りを。

日本の音楽教育業界を支えているのは、
私たちピアノの先生です。

ピアノの先生が笑顔になれば、
子どもたちの笑顔も増えます。

日本を明るくする力を持っているのが、
私たちピアノ指導者だと本気で思っています。

私は「ピアノ講師ラボ」という会を発足したのも、
まったく同じ理由です。

会に集う先生方がお互いに切磋琢磨できる場を作りたい。

会員様と一緒にこの業界を盛り上げていきたい。

発足から6年、国内外に会員数が増え続けているのは、
私の理念に共感する先生が集まってくださっている、

その証ではないかと思っています。

■ピアノの先生の究極の目的

誰一人として、音楽が嫌いなピアノの先生はいません。

生徒の豊かな人生や輝かしい未来を願わない先生はいません。

いつも教室に来てくれる人に、温かいまなざしで、
ピアノを通して「幸せ」を感じてもらえるように、

全力で向き合っているのが、ピアノの先生です。

私もピアノを教える一人の人間として思います。

私たちピアノの先生一人ひとりの力は小さいかもしれない。

けれども、つながることで大きな力となれる。

お互いの悩みを打ち明けながら、
ときには弱みさえも見せながら、

そのなかで切磋琢磨しながら高め合い、

いい情報は惜しげもなくシェアし合う。

すべての先生にとっての究極の目的である、

「生徒の幸せのためにピアノを教える」

このことを最後まで追求すること。

■そして、次の10年へ

私の力は一握りの砂のように微力ではありますが、
共感いただける先生がいらっしゃる限り、

歩みを止めずに進み続けていきたいと思います。

皆様からのあたたかいお気持ちをいただき、
支えていただき、いまの私がいます。

私にできることは、本当に限られたことではありますが、
これからも皆さまにお役に立てることだけを考え、

次の10年を見据えて、邁進していきます。

貴重なお時間に、最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

いつも本当にありがとうございます。

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