何でも「心」がこもっていると、
なぜか相手に伝わるものが違ってきます。
そこにあるのは、テクニックとか方法論とか、
そういうものを超えた部分ではと思います。
たとえば、字を覚えたての小さな子が、
一生懸命書いた手紙に心動かされます。
ここにあるのはテクニックではないですよね。
キレイな字で同じことが書いてあっても、
同じくらい感動するとは限りません。
やっぱり「心」を感じるから、人は感動する。
そういう「見えない法則」があると思うのです。
■いいんだけどなんかちがう
たとえばピアノの演奏。よく言われるのが、
「あの人の演奏には、心が感じられない」
「テクニックはあるけど、なんか伝わってこない」
といった感じの批評です。
たとえば、カフェの店員さんの接客。
「あの人の接客には、心が感じられない」
「マニュアル通りだけど、伝わるものがない」
そんな感じでしょうか。
もちろん、技術とかテクニックとか、
そういうものは大切だと思います。
お仕事にするならば、大前提で持っているべきです。
たとえば、ピアノ教室運営でも生徒募集でも、
技術とか知識というのは大切です。
チラシとかブログの書き方とか、
コミュニケーションスキルとか、
もちろんどれも大切で必要な知識でしょう。
けれどもやっぱり「心」がないと、
「綺麗なチラシだけど、なんか心がないよね」
といった、さっきの演奏批評みたいになってしまう。
■あってもなくても伝わってしまう
結局、テクニックとか知識というものは、
「心を伝えるための道具」であって、
とても大事だけれど、結局のところ、
目的ではなく手段だということでしょう。
やっぱり何でも「心」を伝えることが第一。
心を磨かないでテクニックを磨くのは、
ただ綺麗な文字を書いているのと同じ。
さっきの小さな子の手紙ではないですが、
文字は綺麗でも伝わらなければ意味がないですよね。
「心」がないと、なぜか伝わってしまう。
「心」があると、なぜか伝わってしまう。
これが、人間の営みの面白いところだと思います。
■なぜ伝えられるのか?
一流と呼ばれる歌い手の歌を聴くと、
伝わってくるものが違うと感じます。
それはなぜかと考えてみると、
やっぱり「心」ではないかと思うのです。
その歌手には、歌詞のすべてが体に入っていて、
「物語の人の心」で伝えているから。
一流の役者と呼ばれる人も同じでしょう。
セリフ一つひとつに、心で感じたものを
表現できるからこそ一流の演技ができる。
ピアノの演奏も、不思議と心で変わりますよね。
無機質に音を並べていただけの子に、
その曲の物語を考えさせ、情景をイメージをさせて、
そこにいる人の「心」を感じて弾かせると…
数分前の同一人物とは思えない演奏になる。
本当になぜなんでしょう。
私には説明できる能力がないのがもどかしいです。
けれど、伝えるっていうことは
そういうことなんだろうと思います。
■印象的なひとこと
ある先生がおっしゃっていたことが印象的でした。
「もし素晴らしい演奏ができないと悩むなら、
たったひとつの音を素晴らしく弾くよう努力しなさい」
これも「心」に関係することではないか、
と思ったりします。
そして、人は大きなことを一気にやることが、
カッコイイとか凄いことだと思いがちですが、
必ずしもそうではない、
と教えてくれているような気がします。
すべての人を感動させることは難しい。
けれども、目の前の人に心を伝えることはできる。
すべての曲を素晴らしく弾くのは難しい。
けれども、たった一音に心を込めることはできる。
100人の生徒を集めることは難しい。
けれども、たった一人を大切に育てることはできる。
つまり、いつも目の前、目の前。
やっぱり目の前のことを「心」を込めて、
ていねいにやるしかないんですね。
その積み重ねが、ピアノ演奏であり、
教室運営であり、人生となっていくんでしょうね。
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