いまでこそ、たくさんのビジネス書を読みますが、
若い頃は、あまり好きではありませんでした。

なぜなら、他人のノウハウにすがるようで、
カッコ悪い、自分の道は自分で切り開く。

そんな青い考えだったと思います。

ただ、あれから10年ほど経った今は、
昔の自分を叱責したいほどです。

その考えは間違っている、と。

■一流の人は真似る

出版させていただいた書籍にも書きましたが、

「学ぶ」の語源は「真似ぶ」から来ています。

つまり、誰かを真似ることが学びとなる。

「守破離」の考え方も同じですよね。

最初は、師匠の教えや型を忠実に守り、
基本を確実に身につけていく。

これも「真似る」ことの重要性を
説いたものと言えるでしょう。

世の中の一流と言われている人も、
最初は真似から入っている。

(ピカソも誰かを真似ることから
いろいろな技法を発展させたそうですね)

ここまで考えると、真似ることは、
決して恥ずかしいことではなく、

むしろ、自分を高めるためには、
とても大切な考え方である、と言えます。

ビジネス書を毛嫌いしていた私が、
これほど読むようになったのも、

これほど安価に、著者の経験と方法論を
学ぶことができると知ったからです。

■ピアノのレッスンも…

このことは、ピアノのレッスンでも
同じことが言えると思います。

レッスンを学びたければ、
レッスンが巧みな先生を真似る。

レッスン見学ができればベストですが、
難しければセミナーでもいいでしょう。

大切なのは「空気感」を肌で感じること。

その先生が発する「何か」を感じ、
少しでも近づこうと実践してみる。

たとえば、人気の先生がレッスン中、
表情がくるくる変わるのを発見したり、

声のトーンがいつもより高めだったり、
生徒との距離感が違うなと感じたりしたら、

さっそく自分も試してみる。

■レッスンが巧みな先生は…

私がよく思うのは、レッスンが巧みな先生は、
「ものの例え」がものすごくうまい。

音楽のような抽象的なものでも、
子どもでもわかるような具体物で例える。

そうすると「あぁ、あれね」と
ストンと腑に落ちるわけです。

それから、常にペースをこちら側に持っている。

もちろんレッスンの主役は生徒さんですが、

今日の目的地まで連れていくための
「主導権」はきちんと握っている。

30分という短いレッスン時間のなかで、
のせながら、輝かせながら連れて行く、

そんな敏腕プロデューサーのような
引きの強さを感じます。

■知らないことは…

それから、わからないことは分からないと言う。

「ごめん、今度ぜったい調べてくるから、
せんせいの宿題にさせてね!」

そして、次のレッスンできちんと答える。

生徒がすっかり忘れていることもありますが、
そういう先生の「姿勢」に何かを感じる。

論語に、

「之を知るを知ると為し、
知らざるを知らざると為す。是れ知るなり」

という言葉があります。

自分が知っていることは知っていると言い、
知らないことは知らないと言う。

これが知っている、ということだ。

そんな意味の言葉ですね。

つまり、そういう気持ちや態度でいることが、
さらなる「知」につながっていく。

成長する人の特長は「素直」であること、
とよくいわれるのも、そういうことでしょう。

素敵なレッスンをされている先生は、

「私のレッスンは、もっと良くなれる」

というマインドを持ち、向上心と謙虚さで、
いつも学んでいるからこそ、

生徒さんを輝かせることができる。

「いつもその先の生徒のために」

そのことを忘れずに、学ぶことを楽しめる
指導者でありたいと思っています。

最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。

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