大人の言葉は、子どもに大きな影響を与えます。
かける言葉によって、彼らの気持ちを
上げることも下げることもある。
これは、ピアノの先生も同じですよね。
毎週、長い年月にわたってのお付き合いなので、
むしろ影響力はかなりのものかもしれません。
だからこそ、ピアノを教える者として、
使う言葉には十分な配慮が必要だと思っています。
また、子どもたちの心の温度が上がれば、
やる気も出ますし、
こちらの話にも耳を傾けてくれる。
何より、音楽への興味も増すでしょう。
そこで今回は、こういうときには、
こんなふうに伝えてみればいいのでは?という、
「子どもたちの心を1℃上げる言い換えの実例」
について、7つの事例を挙げながら、
お伝えしてみたいと思います。
●「それ、前にも聞いたよ…」⇒「あーその話面白いよね!」
ときに、子どもたちは同じ話を何度もします。
純粋に聞いて欲しいからですね。
そんなとき「前にも聞いた」で終わらせてしまうと、
子どもたちはガッカリ。一気に心が冷えます。
そんなときは「前に聞いたけど、また聞かせて!」
といったニュアンスで伝えてみる。
すると、喜んで話してくれます。
人は、自分の話を聞いてくれる人に好意を持つ。
その後のレッスンもいい感じに進んでいくでしょう。
●「今日はかっこいいね」⇒「今日もかっこいいね!」
たった「1文字」違いですが、意味は大きく変わりますね。
「今日は」だと、いつもはかっこよくないのか…
と思ってしまい、気持ちが下がります。
いつもかっこいいけど、今日は特に!
というニュアンスは、大人でも嬉しいですよね。
「かっこいい」は、男の子はとくに喜ぶフレーズです。
●「宿題ちゃんとやってね」⇒「ここまで3回、弾いてね」
課題を与えるときに「ちゃんと」「しっかり」
みたいな感じで、つい言いがちですよね。
この子なら分かっているだろう…と思っても、
こちらの意図はまったく伝わっていないことも。
特に宿題に関しては「どの部分をどのように何回」
と具体的に言って(書いて)あげることが大切ですよね。
大人でさえ、忘れてしまうのですから…
●「あの子よりずっと良いよ」⇒「がんばったね!」
教室でやってはいけないことの一つは、
「他の生徒と比べること」ですよね。
ほめるならば、他人と比べるのではなく、
過去の自分や具体的な事例について。
「先週よりずっとよくなったね!」
「前よりこの部分が流れて弾けたね!」
このほうが、具体的でわかりやすく、
もっとがんばろうかなと思えるでしょう。
●「あなたにはまだムリよ」⇒「できるかどうかやってみよう!」
ときに子どもたちは、自分の力量以上のことを
やってみたいと要求することもあります。
たとえば、難しい曲を弾いてみたい、など。
そんなとき「まだムリ」と言うのは簡単ですが、
(実際そうなのでしょうけど…)
それでも、彼らの「挑戦したい」気持ちを
尊重してあげることも大切だと思ったりします。
やってみて、できなければ納得するでしょうし、
こちらが、あなたの力を信じているという
思いを伝えることも大事ですよね。
●「やればできるじゃない」⇒「できると信じてたよ!」
「やればできるじゃない」は、励ましているようで、
(前からちゃんとやってよ…)というニュアンスで
伝わってしまうこともありますよね。
それよりも、シンプルにあなたを信じていたよ、
と伝えたほうが心の温度も上がるでしょう。
●「失敗しないようにね」⇒「いつものようにね!」
コンクールや本番前の声かけは重要ですよね。
最も避けたいのは、ネガティブな言葉。
「失敗しないように」「間違わないように」
は一見良さそうですが「失敗」や「間違うこと」に
フォーカスしてしまうことも。
それよりも、
「いつものように、ふだん通り弾けばいいよ」
のように、大丈夫だよ、信じているよ、
といった気持ちを伝えるほうが、大きな力になることも。
■言葉の力を信じていきたい
ちょっと長くなってきたので、この辺で…
言い方ひとつで、意味も大きく変わり、
子どもへの伝わり方も変わりますよね。
音楽の力を信じている人間として、
「言葉の力」も同じくらい大切にしたい。
いつもそんなことを考えています。
お忙しいなか、最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
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