楽譜の向こう側

ピアノの先生は、生徒にリズムや音符などを教えるだけでなく、
楽譜を「読み解く」力も身につけさせたいもの。

そのためにも、指導者自身にその能力があることが必須になります。

今回はかなり骨太な楽典の本のご紹介です。

★「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」vol.327(2014年10月15日配信)より

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『 応用楽典 楽譜の向こう側 』  西尾洋・著

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今日ご紹介するのは、

「応用楽典 楽譜の向こう側」

という書籍です。

楽典というと音楽の知識を学ぶこと、
といったイメージがあるかもしれません。

けれども、本来はその知識を、

「演奏での表現」

にまでつなげることが目的です。しかしながら実際は、
そこまで至っていないケースが多いことも否めません。

今回の楽典の本は、サブタイトルにもあるように、

「独創的な演奏表現」

を目指すための書籍です。

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◆今日のチェックポイント◆
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この楽譜の「序文」から引用すると、

「本書は、楽譜に書かれていることをもとに、楽譜に書かれなかった
ことを紐解き、演奏表現に繋げる方法を考える、読譜の入門書です
(中略)音楽の専門家のみならず、初心者や一般愛好家、音楽教師
など、子供から大人まで、音楽にかかわるあらゆる人に共通して必要
な力、それは楽譜から『音楽』を読み取る能力です」

とあります。さらに音楽の演奏においては、

「楽譜に何が表現されているのかを読み取る」

ことがまずは重要であり、

「それを実現するために必要な技術や方法を考える」

として、技術の訓練は、あくまで読み取ったものを
表現するために必要である、としています。

これをふまえて本書では、楽譜から音楽を読み取るために
必要な知識や理論について、詳しく解説しています。

本書の章立てをご紹介すると、

1.音階に意味がある
2.音程に意味がある
3.調に意味がある
4.和音に意味がある
5.拍子に意味がある
6.形式に意味がある
7.様式に意味がある
8.楽語に意味がある
9.歌詞に意味がある
10.音型に意味がある
11.強弱に意味がある
12.休符に意味がある
13.譜表に意味がある
14.練習問題と解答例

脚注やコラムもあり、より詳しい内容や専門的な
内容を解説しています。

練習問題では上級の内容を取り扱っています。

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◆(2)演奏表現にまで昇華させるための読譜の本

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私は音大時代、楽典に苦手意識を持っていた
学生のひとりでした。

ただ、それは楽典を学ぶ「意味」や「目的」の部分を
大きく取り違えていたからとも言えます。

著者の西尾先生も「序文」でおっしゃっているように、

「楽譜に基づく演奏は、作曲家の思考した音楽を
鳴り響く時間としてかたちづくること」

であり、我々がすべきは、楽譜を綿密に読み込む
ことによって作曲家の意図に近づくことです。

学生時代にこうした発想があれば、単に技術を身につける
だけの練習に終始することもなかったでしょう。

楽典を学ぶ面白さを実感し、ピアノに触れない(楽譜を読む)
時間も増えたのではと、少なからず後悔の念があります。

本書で特に勉強になった箇所を挙げると、

○旋法とは旋律の動かし方
○不協和音程は準備され、そして協和音程に解決する
○終止形の誕生
○ナポリの和音の意味
○アウフタクトの意味(コラム9)
○andanteは歩く速さか
○テトラコルドの音楽史
○ppは特別な場面
○ハ音記号を学ぶ意味、目的、効果

専門的な用語も極力分かりやすく解説しつつ、
楽譜の読み方を紐解いていく本書。

私も目からうろこな内容がたくさんありました。

ピアノ指導者にとて、音符の読み方はもちろん、
「楽譜の読み方」を指導することも必須でしょう。

そのためにも自らが「楽譜に書かれなかったこと」を
はじめ、譜面から「読み解く」力が肝要です。

この点でも、本書はピアノの先生こそ必読の書、
と言えるのではないでしょうか。

ご興味のある先生は一度ご覧になってみてください。

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『 応用楽典 楽譜の向こう側 』  西尾洋・著

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