ピアノの先生は必読でしょう。
★「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」vol.403(2016年4月27日配信)より
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いつもお読みいただき、
本当にありがとうございます。
株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。
今日ご紹介するのは、
という書籍です。
著者はピアニスト・文筆家の青柳いづみこ先生。
青柳先生は、大阪音楽大学の教授であり、
日本ショパン協会の理事でもいらっしゃいます。
「六本指のゴルトベルク」や「我が偏愛のピアニスト」
など数々のご著書がおありです。
以前このメルマガでも、文庫化された
「ドビュッシーとの散歩」をご紹介いたしました。
今回は、青柳先生によるドビュッシーの
ピアノ曲の演奏に関する書籍のご紹介です。
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◆今日のチェックポイント◆
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巻末の「あとがき」から引用すると、
「作品にはどんな文化的背景があるのか、作曲家は
どんな絵を好み、どんな文学を愛読したか、ピアノ
曲は他のどんなジャンルの作品と同時進行していて、
相互影響があるのかないのかということは決して無
視できないし、解釈の方向を定める上でとても役に
立ちます(中略)本書のテーマはドビュッシーとそ
の時代ですが、ここでご提案した姿勢は、他の時代
の他の作曲家にもじゅうぶん応用できるということ
を申し添えておきます」
とあります。
また、同じ部分によると本書は、
「レッスンの友」1995年12月号から1997年3月号までの
連載をベースに、同誌の特集記事や「ムジカノーヴァ」
の特集記事を加えて加筆訂正したもの
ということのようです。
「レッスンの友」での連載が、
「ドビュッシーをおしゃれに弾くために」
というテーマであったこともあり、
本書では、さまざまな作品を取り上げつつ、
演奏に必要な具体的なテクニックや考え方など、
写真や譜例を豊富に掲載しながら解説。
また演奏法にとどまらず、作曲家の人生や時代背景など
豊富な情報が盛り込まれているのが本書の特長でしょう。
巻頭の「ドビュッシーが好きだった名画」では、
カラーで名画を掲載。
ボッティチェリやターナー、ロートレック、
葛飾北斎などもあって興味深いところです。
本書の内容を目次からご紹介してみましょう。
●ドビュッシーが好きだった名画
●ドビュッシーってどんな人?
●アラベスク第1番
●アラベスク第2番
《映像》第1集より
●水の反映
●運動
●小さな黒人
●忘れられた映像
●ドビュッシーのお引越し
《前奏曲集》第1巻より
●デルフの舞い姫たち
●帆
●亜麻色の髪の乙女
●沈める寺
●ミンストレル
《子供の領分》より
●雪は踊っている
●ゴリウォーグのケーク・ウォーク
●タッチと音色のいろいろ
●指先から感じるドビュッシー
●耳と足先で感じるドビュッシー
●タイトルの意味を間違えなくとらえよう
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◆(2)さまざまなテクニックや演奏法が学べる貴重な一冊
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ピアノを弾く人にとっては、ドビュッシーは
一度は取り組んだことのある作曲家でしょう。
私もその一人ですが、自分としてはどうも
弾きにくい作曲家だな…と感じたのは事実。
これはもちろん私のテクニック不足が原因なのですが、
それ以前に「ドビュッシーとその背景」に関する
知識が乏しかったことが大きな要因。
青柳先生もこうおっしゃっています。
「ドビュッシー自身の演奏を聴いたり、文章を
読んだり、副次的な作業で裏付けすることが重要」
「鍵盤上でどのように音にしていくのか。それには
どんな手段や技法が必要か、その技法を獲得するためには、
どんなふうに手を鍛えておかなければならないか……。
ここでようやく技術的な問題が浮上するわけです」
つまり私は、演奏するための大事な情報(勉強)なしに、
単に指を動かしていたことが間違いだったわけです。
この点、今音大に通っている学生を含む、
ピアノ学習者はとても幸運でしょう。
本書のような「道しるべ」がすぐ目の前にあるからです。
私が本書で勉強になったと感じた部分をいくつか挙げると、
●ドビュッシーはベートーヴェンが苦手
●本当は「印象派」とは全く関係がない
●しっかりした関節を準備する「逆立ち体操」
●「弾いたあとの指」を上げる「ドミノ弾き」
●ケーク・ウォークのコツはスウィング
●19世紀末のあべこべ美学
●ペダリングの極意は、バスは残し、上の濁りは取る
●ドビュッシーの演奏に必要なペダリング
ピアノ指導においては、演奏のテクニックの
ポイントを伝えることは必要不可欠です。
本書は、ドビュッシーがテーマですが、
ピアノ演奏全般で活かせる内容が満載。
タッチや演奏法の細かい解説は参考になるため、
ピアノの先生もぜひ読んでおきたいところです。
特に、ドビュッシーの作品を生徒に与えようと
思っている先生は必読でしょう。
レッスンの充実度が大きく変わってきそうです。
ドビュッシーに対するイメージも、
もしかして変わるかもしれない一冊。
ご興味がおありでしたら、
お手に取ってみてはいかがでしょうか。
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◆(3)編集後記
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今回ご紹介の青柳いづみこ先生。
来月5月号の「ピアノ講師ラボ」の対談に
いよいよご登場されます。
今回はご専門であるドビュッシーについてや、
ピアノテクニックについてのお話がメイン。
ピアニストならではの、説得力のあるお話、
今日からのレッスンに活かせる内容ばかりです。
vol.50「青柳いづみこ先生が語る!
ドビュッシーの音楽とテクニック指導のポイント」
●青柳いづみこ先生のご紹介と文筆活動の原点のお話
●恩師である安川加壽子先生の驚きのレッスンとは?
●青柳先生が考える音楽とレッスンで大切にされていること
●ドビュッシーの人間性や音楽について
●ドビュッシーの音楽は「印象派」ではない?
●ドビュッシーを弾くためには「2つ」のポイントがある!
●「アラベスク」を演奏するためには意味を知る必要がある
●青柳先生が考えるピアノ演奏の「基礎練習」とは?
●ショパンが編み出した画期的な「技法」とは?
●手の小さい人が和音を美しく弾くためのエクササイズ
●面白いほど「音の粒」が揃ってしまう練習方法!
●「伸びる音」「歌う音」を作るエクササイズ
●ペダリングがどんどんうまくなる極意を伝授!
●生徒をコンクールに出す時にこれだけは注意したいこと
●青柳先生にとってのプロフェッショナルとは?
今月4月30日までにご入会いただいた先生は
こちらの青柳先生の対談からスタート頂けます。
ご興味がおありの先生は、こちらのページを
ご覧いただけましたら幸いです。
★忙しいピアノの先生のための学びの新提案
「ピアノ講師ラボ」
それでは今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
今日も素敵なレッスンを。
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