純度100％のピュアな気持ちを持ち続け、届ける。～ピアノ指導者として大切にしたいこと

いつもこのブログをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。

このブログをお読みの先生のなかには、
生徒さんが音楽大学への進学を考えている、

あるいは、進路で悩んでいる生徒さんを抱える方も
いらっしゃるのではないかと思います。

そんなとき、どうアドヴァイスすればいいのか、
生徒以上に悩むのも、ピアノの先生かもしれません。

生徒の人生がかかっているわけですし、
音楽で生きていくことの大変さも知っている。

だからこそ、慎重にならざるを得ないわけです。

また、音大に進学した学生が悩むのが、

「社会に出てどうするか？」

という切実な問題でしょう。

音大を卒業して、演奏家として第一線で
活躍できる実力の持ち主であれば問題ありません。

けれども、それはほんの一握り。

非常に厳しい世界であることは間違いありません。

これまでに費やしてきた時間とお金は、
言うまでもなく膨大です。

それに反比例して、音楽で生計を立てるのは簡単ではない。

卒業後に、費やしたお金をを回収しようと思っても、
難しいのは誰もが理解できるでしょう。

でも音楽だけは捨てたくない。

そこに生き方の「ジレンマ」が生まれるのは、
いわば当然かもしれません。

■お金にかえられるもの、かえられないもの

先日読んだ本があります。

「2018年問題とこれからの音楽教育（久保田慶一・著）」

2018年から18歳人口の減少がさらに進むなかで、
音大を含めた音楽教育はどうあるべきか、

また、音楽家としてのキャリアをどう考え、
どう生きていくかまで踏み込んだ内容です。

この本のなかで、先ほどの「ジレンマ」の
解決法について書いた部分があります。

それは「合理的な判断を放棄する」こと。

「お金に換算できないものを無理に換算して、
比較しようとしないこと」

「音楽とどうつきあって人生を歩むのかという、きわめて
シンプルな問いかけを、まず自分自身に向けてみる」

その項では、郷里に帰って吹奏楽団の指導者になりたい、
という人がいると仮定しています。

月に10万円の収入では、音大を卒業するまでに
かかった費用の回収は厳しい。非合理だ。

そう周りの人が言うかもしれない。

けれどもそこでしか得られない
「やりがい」「喜び」「感動」もある。

その「やりがい」「喜び」「感動」はお金には換算できない。

「あなたのやりがいは、あなたのこれまでしてきた努力でしか
報われないものですし、あなたの喜びは、あなたが得る収入の
額で測ることはできないはずです」

これは確かに納得できる言葉だと思います。

たとえば、その経験を2,000万円払ってでもやりたい！
という人がいても、それは限りなく難しいでしょう。

その人には、長年かけて得られるスキルも経験もないからです。

お金が膨大にある人でも決して得ることができない。
そういうものが「自分の中」にはある。

そこに「価値」を見出すことができるかどうか。

それが音楽の道を歩むかどうかの
ひとつの指標になる、ということでしょう。

■ピアノの先生という職業とは

ピアノ指導者という道を選んだ人がいます。

果たしてその人は、これまで費やしたお金を
回収するためにその仕事を選んだのでしょうか。

もちろん、そういう人もいると思います。

他にすることがないからピアノでも教えよう。

もちろん、そう考えた人もいるでしょう。

ただ、そこにある「心」を、もし特別な浄化機で
純度100％にまで限りなくピュアにできたとしたら、

「音楽の素晴らしさを伝える感動を味わいたい」

「子どもたちの心に音楽の豊かさを伝えたい」

「自分が救われたように、音楽の力を伝えたい」

「ピアノ教育を通じて子どもたちの笑顔を見たい」

きっと誰もが、そんな「音楽人」として心の奥底にある
「純粋な願い」を持ってこの仕事を始めたはずです。

そして、ピアノを教えることによって得た
「やりがい」「感動」「子どもたちの笑顔」は、

決してお金には換算できるものではありません。

収入を得ることは大事です。プロとしての
ひとつの条件であることは間違いありません。

けれども、

「純度100％のピュアな気持ちを持ち続け、届ける」

これも、プロのピアノ指導者として不可欠な条件
であることは、私自身も忘れずにいたい。

そんなことを本書から感じました。

今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。

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